病院代が年8.8万円に届かない年は、市販薬のレシートでセルフメディケーション税制を申告すると税金が戻る
- 対象者
- 病院代や市販薬代を払っていて、その年に健診か予防接種を受けた人
- どうなるか
- 病院代が年8.8万円未満ならセルフメディケーション、超えるなら医療費控除が多く戻る
- やること
- ★印のレシートと領収書を1年分とっておき、多く戻るほうで確定申告する
対象になる人
どちらも、自分と、生計を一にする家族のために払った分を合わせて申告できる。会社員も、年末調整ではなく確定申告(還付申告)で受ける。
- 医療費控除:1年(1月〜12月)の医療費が10万円を超えた人。病院・歯医者・処方薬のほか、かぜ薬など治療のための市販薬、通院の電車・バス代も入る。総所得金額等が200万円未満の人は、10万円ではなく総所得金額等の5%を超えれば使える
- セルフメディケーション税制:対象の市販薬を1年で12,000円を超えて買い、その年に健診か予防接種を受けた人。会社の健康診断、特定健診、インフルエンザの予防接種、市区町村のがん検診などが当たる。受けている必要があるのは申告する本人だけで、全額自己負担で任意に受けた健診は当たらない
セルフメディケーション税制は2026年分までの期限つきだったが、2026年度の税制改正で延長された。スイッチOTC医薬品(病院の薬から市販薬になったもの)は期限がなくなり、それ以外の対象薬も2027年分から5年延びる。
いくら戻るか
控除額の計算はこうなる。
- 医療費控除=1年の医療費−保険などで戻った額−10万円(最高200万円)
- セルフメディケーション税制=対象の市販薬の購入額−12,000円(最高88,000円)
戻る額は「控除額×税率」。所得税(5〜45%)と住民税(10%)の両方が下がる。所得税率5%の人なら控除額の約15%、10%なら約20%、20%なら約30%が戻る(所得税は確定申告で戻り、住民税は翌年度の分が下がる)。
| 1年の支払い(例) | 医療費控除 | セルフメディケーション税制 |
|---|---|---|
| 病院代3万円+対象の市販薬2万円 | 0円(10万円に届かない) | 約1,200円(控除8,000円) |
| 病院代5万円+対象の市販薬4万円 | 0円(10万円に届かない) | 約4,200円(控除28,000円) |
| 病院代8万円+対象の市販薬4万円 | 約3,000円(控除2万円) | 約4,200円(控除28,000円) |
| 病院代15万円+対象の市販薬3万円 | 約12,000円(控除8万円) | 約2,700円(控除18,000円) |
所得税率5%・住民税10%として計算した例(年収400万円前後の単身の会社員を想定)。復興特別所得税の分は含めない。病院代は歯科・処方薬を含む。市販薬は治療のためのもので、医療費控除にも数える前提
市販薬は両方の計算に入るので、差がつくのは病院代のほう。市販薬以外の医療費(病院・歯医者・処方薬など)が年8.8万円より少なければセルフメディケーション税制、多ければ医療費控除のほうが多く戻る。対象の市販薬が年12,000円〜10万円の範囲なら、この目安で選べる。総所得金額等が200万円未満の人は医療費控除の線が10万円より低いので、両方を計算して比べる。
やり方
- 市販薬を買ったら、レシートの印を確かめる。対象の薬には商品名の前に「★」などの印がつき、「★印は税制対象品目」のような説明が入る(対象品だけの合計を分けて書く店もある)。印がなければ、買った店に再発行を相談する
- 病院・薬局の領収書、市販薬のレシート、健診や予防接種の領収書・結果通知を1年分とっておく。申告には添付しないが、申告期限から5年間は税務署から見せるよう求められることがある
- 年が明けたら、上の目安で多く戻るほうを選び、国税庁の「確定申告書等作成コーナー」で明細書を作って申告する。健康保険の「医療費のお知らせ」(医療費通知)を使えば、医療費控除の明細の記入を簡単にできる
- 申告していない年があっても、翌年1月1日から5年以内なら還付申告ができる
気をつけること
- 両方は同時に使えない。一度選んで申告すると、あとから更正の請求や修正申告で切り替えることもできない。申告の前に、両方の控除額を計算して比べる
- 高額療養費や保険の入院給付金で戻った分は、医療費から差し引く。入院した年は、窓口で払った額をそのまま足すと控除が大きくなりすぎる
- ビタミン剤など、予防や健康づくりのための薬は医療費控除に入らない。セルフメディケーション税制の対象かどうかは、薬の種類ではなくレシートの印で確かめる
- 2027年1月からは、胃腸薬・便秘薬・痔の薬、生薬だけのせき止め、新型コロナの抗原検査キット(インフルエンザと同時に調べるものを含む)、排卵日予測検査薬なども対象に加わる。ただし、国の対象品目リストに載る前に買ったものはレシートに印がつかず、申告に使えない
出典10/4(日) 確認
- 国税庁 No.1120 医療費を支払ったとき(医療費控除)
- 国税庁 No.1122 医療費控除の対象となる医療費
- 国税庁 No.1129 セルフメディケーション税制
- 国税庁 No.1131 セルフメディケーション税制と通常の医療費控除との選択適用
- 国税庁 No.2030 還付申告
- 国税庁 No.2260 所得税の税率
- 国税庁 No.1410 給与所得控除
- 国税庁 No.1199 基礎控除
- 厚生労働省 セルフメディケーション税制(特定の医薬品購入額の所得控除制度)について
- 厚生労働省 セルフメディケーション税制に関するQ&A(令和8年8月7日現在)
- 厚生労働省 令和8年度税制改正の概要(厚生労働省関係)
- 総務省 個人住民税